直木賞受賞のこの本を図書館で借りようとしたらなんと600人待ち。
仕方なく購入したらこれが偽りのない真の受賞作品だった。
利休を侘び寂びの求道者くらいにしか思っていなかったが、
実は茶道における審美眼の達人だったらしい。
最期は関白秀吉にねたまれ悲劇に追い込まれてしまうが、
波乱万丈の目のくらむような艶やかな人生だったようだ。
山本兼一の歴史小説の眼力は正鵠を射るようで核心をつき、
テンポもよくてあっという間に読みきってしまった。
帝から賜った利休という名は利を休めよという意味あいで、
「いたずらに名利や利益をむさぼるな」の教えだそうだ。
骨太の山本兼一は作家としてすでに名をなした人で、
出版ずみの「火天の城」は安土城を作った大工の話し、
鷹匠の「白鷹伝」も人間くさい作品らしく、
明日にでもまた図書館で探してみよう。