窪田君に紹介されて神奈川近代文学館の井上ひさし展に出かけた。
開高健展・城山三郎展以来3度目だが充実した展示だった。
しかし恥ずかしながら彼の著書も演劇も一度も見たことがない。
根底に流れているのは幼年時代に育った美しい東北の山河であり、
敗戦後の辛さを忘れさせる笑いのユートピア創りであった。
だいぶ昔脚本が書き上がらずに芝居がキャンセルになったが、
それでも仙台一高時代は映画館に入り浸って同じ映画は2度見て、
2度目は暗闇でシナリオやセリフを書き写す狂いぶりだった。
晩年は蔵書7万冊を寄贈して故郷山形に遅筆堂文庫を立ち上げた。
窪田君が言うように井上ひさしの熱い血が伝わる展示だった。
サブタイトルの「21世紀の君たちに」をかみ締めて帰還した。