2年越しでタイトルの本を読み上げた、と言うより正確には芭蕉が
深川を立ってみちのくから大垣にいたるまでの50日間の記録を、
ひと文字ひと文字なぞるユニークな本を書き上げたが正しい。
旅の俳人松尾芭蕉はやはり稀有の天才である。
同行の弟子を予定していた路通から曾良に変えて旅立ちの句、
行春や鳥啼魚の目は泪
そして目がくらくらするような名句がつづく、
五月雨の降のこしてや光堂
象潟や雨に西施がねぶの花
石山の石より白し秋の風
大垣では路通たちに迎えられて伊勢の遷宮を拝みに行く、
蛤のふたみにわかれ行秋ぞ
芭蕉は挨拶の達人でもあるそうだ、その土地への挨拶吟、
涼しさやほの三日月の羽黒山
山中や菊は手折らぬ湯の匂
元禄七年留別吟となったのがあまりにも有名な、
旅に病で夢は枯野をかけ廻る
私も奥の細道をたどってみたくなってきた。
曾良が密偵の芭蕉の見張り役だなんて説はくそ食らえだ。