行ってまいりました、あこがれの熊野古道へ。
40kの巡礼の路はさすがに甘くはなかった。
初日は黙々と林の中を下を向いて歩き続けて景色も見ずに、
ようやくたどり着いたのは標高330mの高原熊野神社、
最高地点の半分にも達していない、まだ予定の三分の一のところだ。
熊野古道の名がなければただの田舎道だがここでギブアップ。
川に面した温泉のある近露王子の民宿でゆったりと汗を流した。
「うつむきて古道ひたすら時鳥」
二日目は目的地の熊野本宮大社まで7kの地点にある
発心門王子までバスを利用して、そこから歩き始めた。
なだらかな下り坂がつづきながめも素晴らしい。
120年前までは熊野川の中洲にあった本宮大社は洪水のため
今のところに遷宮されたが、残された鳥居だけがはるかに見える。
「夏めきて中洲に鳥居ぽつねんと」
150段の階段の上にゴールの熊野本宮大社はあった。
神々がおわす内宮のたたずまいは出雲大社を思わせるものがあった。
今夜の泊まりは150年の歴史がある川のほとりの亀屋旅館だ。
案の定女将は新宮出身の旧友森本剛史の幼友達だった。
「河鹿鳴く露天風呂まで響きけり」
三日目はのんびりと川下りして新宮の熊野速玉大社へ。
森本剛史が自慢げに話していた松明をかざして坂を駆け下る
壮麗な火祭が催されるところだ。
雨が降り出した午後は那智の滝を眺めて熊野那智大社に詣でた。
あわただしいようなつらい熊野古道の旅は好天にもめぐまれ、
岡部敬隊長の配慮で美味しい酒で楽しい思い出を作ることができた。
「湧き上がる熊野古道は樟若葉」